カメルーン戦以前の代表はなぜ不振だったのか

 今年になってから日本代表はずっと不振だった。
 5/24の韓国戦後に起きたことは、
・代表選手らのミーティング
・阿部アンカーシステムの採用、俊輔スタメン外とそれまでの代表コンセプトの破棄
・本田ワントップ、岡崎スタメン外
・カメルーン戦勝利
 これらはみなさん御存じの通りである。だがそこを議論する前に、明らかにしなければならないことがある。

 順番を逆にして考えてみよう。
 最終的に、日本代表はベスト16で終わった。

2/2 0-0ベネズエラ   国内組
2/6 0-0中国      東アジア杯、国内組
2/11 3-0香港      同上
2/14 1-3韓国      同上
3/3 2-0バーレーン   海外組を加えたベストメンバー
4/7 0-3セルビア    国内組
5/24 0-2韓国      23名発表後
5/30 1-2イングランド  同上
6/4 0-2コートジボワール 同上

 この成績とそれぞれの試合内容は、W杯ベスト16を果たしたチームにしては、悪すぎるのではないか?
 これは「W杯予選を概ね順当に勝ちぬいたチーム」ではなく、「W杯予選をやっとの思いで潜り抜けたチーム」に相応しい成績ではないか。
 W杯予選通過後、私は日本の実力を「運が良ければ16強(でもクジ運は無かった)」と見積もっていた。だが、今年のW杯以前の日本代表は「どこと当たっても三連敗やむなし」ぐらいに見えた。
 岡田監督の現実路線への転換について語る前に、転換しなければならないほど酷いことが起きていたのはなぜかを語らないといけないだろう。
 恐らくそれは直接には岡田監督の問題ではない。岡田監督が2009年と同じサッカーをしようとしても出来なくなっていたのだ。東アジア杯は俊輔抜きで戦っていたのだから、俊輔の足首のせいでもない。
 他の選手の問題だ。

 率直に言えば、遠藤の不振のせいであろう。遠藤は昨シーズン天皇杯決勝までプレーし、そこで大活躍した。その疲労が正月と代表合宿の間のオフでは取れなかったのだろう。代表の遠藤は今年ずっと不調であり、ガンバに戻ってからもその不調は続いていた。調子の良い時はへらへらしているのに、今年の遠藤はずっと苦しそうな表情でプレーしていた。
 遠藤は代表で代えの効かない選手である。代表のパスワークの中心であるだけでなく、タメも作れることから攻撃のテンポも制御する。時には決定機に顔を出す。オシム監督の時からずっと中盤の中心だった。岡田監督はよほどの怪我や病気でない限り、代表の試合では遠藤を招集し、試合開始から終了までプレーさせた。どんな選手も遠藤と合わせる必要があるからだ。
 遠藤の調子が悪いのは他のレギュラーの調子が悪いのとはわけが違う。中澤の調子が悪くても点を取られるだけだ。代表が機能不全に陥ることはない。
 5/24韓国戦の日本代表は機能不全だった。遠藤のパスが味方に届かない。遠藤がボールを持ったことは攻撃の合図だ。当然そこで前がかりになる。そこでミスパスが出たら相手に決定機を与えるのは道理である。

 それでも岡田監督は遠藤を外さなかった。代わりに遠藤以上に調子の悪かった俊輔を外し、阿部をアンカーに入れた。守備も必要なドイスボランチの一角から、遠藤のポジションは変わり守備の負担が軽減された。
 そして、さすがプロである。W杯本番に合わせて遠藤はコンディションを上げてきた。

 かくて日本代表は、ぎりぎりのタイミングで帳尻を合わせたのだ。


 最初に、岡田監督の問題ではない、と書いた。だが厳密には違うかもしれない。岡田監督は特定のレギュラーに強く依存する代表を作ってきた。それは連携を深め熟成させるのに役立ったが、誰が欠けても同じサッカーができるチームにはならなかった。それが監督の責というなら責であろう。

 ところでパラグアイ戦で勝っていれば、次戦に遠藤は累積警告で出られなかった。次戦があればどうなったのかとても興味が持てるところだ。だが、それを知る術はもはやない。

この記事へのコメント

cerebellum
2010年07月12日 10:35
ワールドカップを観ていると、
代えの利かない選手がいるチームは少なくないですね。
誰が出ても同じサッカーが出来る、というミッションは
監督にとって、かなり難しいのでしょう。
水谷秋夫
2010年07月12日 17:58
スペインはW杯予選で一人二人主力がいなくても同じサッカーをしていました。Jリーグでもサンフレッチェは何人怪我人が出ても同じサッカーをしています。出来ないことではないんです。ただ、誰にでも出来ることではないようです。

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