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zoom RSS 木曜映画サイト 北野武の映画は苦手

<<   作成日時 : 2018/02/08 19:45   >>

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 北野映画は痛いんですよ。
 北野武と言えばバイオレンス。いや、でも私はバイオレンス映画全般が苦手ってことはないんです。チャンバラ映画も、カラテ映画もカンフー映画も好きだし、やくざ映画も見るしね。
 でも北野映画のバイオレンスって、ひときわ痛いんですね。こう、見ているだけなのに自分が殴られているような感じがするわけです。
 誰のブログだったかな。ヤクザ映画を観てヤクザに憧れる人が世の中にはいたかもしれないけど、アウトレイジを見たらヤクザにだけはなるもんじゃないと思うと。
 それだけ、痛さが切実に伝わってくるんですね。

 もうひとつ、北野映画の特徴に、言葉を重視しないっていうのがあって。
「死んでもらうぜ」(昭和残侠伝)
「山守さん、弾はまだ残っとるがよ」(仁義なき戦い)
「ただじゃおかねえんならどうすんだコノヤロー。撃ってみろコラ」(アウトレイジ ビヨンド)

 たぶんね、映画の脚本家っていうのは、ここで印象的ないい科白を言わせてやろうとかいう色気があるんですよ。でも北野武って人は言葉を信じてない。ドスを持った高倉健も、拳銃を持った菅原文太も印象的な科白を吐いている。でも北野映画はピストルを目の前にして命のやり取りになるかって時に、子供の喧嘩の言いがかりと大差のない言葉を持ってくる。北野武にそんな色気はないわけです。
 私は、この言葉をどう印象付けるかみたいなことを考えながら文章を書くことが多いんで、北野映画と相いれないわけです。

 先ほど、北野映画は痛いと書きました。
 暴力描写が痛いんだ、単純にそう思っていたんですが、どうもそうじゃない。例えば「菊次郎の夏」のお祭りの場面。射的や金魚すくいで菊次郎が姑息なズルをするんですよ。それが痛い。ひょっとするとその後の暴力場面よりもよっぽど痛い。
「キッズ・リターン」のカツアゲの場面なんかも痛い。暴力描写がなくても、あんなふうに脅されたら嫌だな、っていう感情を掻き立てられる。
 つまり痛さの伴う感情がリアルなんですね。それを言葉で誤魔化すんじゃなくて、映像で見せつけてくる。

 先日見たのが「あの夏、いちばん静かな海」で。
 これ、一切暴力描写がないです。しかし、痛い。
 私はこの映画のストーリーを知っていて見たんじゃない。でも、ああ、この男の人は最後に死ぬんだろうな、っていう緊迫感がびしばし伝わってくる。
 声のない中で捨てられたサーフボードを修理したり、大会で自分が呼ばれているのに気づかなかったりという場面が、真に迫ってくる。そのサーフィンに取りつかれた男をひたすら見続けている女もまた痛い。誰も何も傷つけていないのに、キリキリと痛い。
 つまり、暴力だから痛いのではない。人が生きていることのリアリティを追求すると、精神的にどうしても痛いことになってしまう。それを言葉ではなく映像で見せていく。

 時に耐えがたいんですね。その痛さが。言葉をどう操ろうかと考えている、自分がごまかしの人間だから却ってそう思うのかもしれません。
 北野武の映画は苦手です。

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