サッカーは相撲ではない

 ザッケローニ監督らが「攻撃的に」と言い、長谷部キャプテンらが「自分たちのサッカー」と繰り返していたことに、既視感があった。どこかで似たような言葉を聞いた。サッカーではない。どこでだっただろう。それを最近になってようやく思い出した。
 相撲だ。

 相撲取りはよくこう言う。
「前に出る」
「自分の相撲を取る」
 これは
「攻撃的に」
「自分たちのサッカー」
と同じではないか。

 サッカーも相撲もスポーツであり、勝敗を決する戦いである。そこは共通かもしれない。しかし、それ以外は全然違う。
 相撲は時には数秒で勝負が決まる。勝負の大部分を、立ち合いで優位に立てるかどうかが決める。
 その立会いを制するには、前に出て、自分の相撲を取れるかどうかが重要だ。自分の相撲といっても様々だ。前みつを取って寄りきる。突っ張って相手の体を起こしてはたく。右四つに組みとめて左から上手投げ。だが様々であるにしろ、前に出て自分の相撲が取れれば、勝ち星を得る可能性はかなり高い。

 しかしサッカーは、時に数秒で終わる相撲と違って、長い時間がかかる。90分、トーナメントでは時に120分を通して戦われる。攻撃的に自分たちのサッカーをすることは重要かもしれない。しかし、90分間攻撃を続けることは出来ない。相手のあることだから、自分たちのサッカーを出来ない時間帯もある。
 いや、力関係によっては、ほとんど自分たちのサッカーが出来ないこともある。しかし、自分たちのサッカーが出来ない時間が89分続いても、残りの1分で勝てることもある。親善試合の日本-フランス戦はそんな試合だったではないか。

 攻撃的に行くのもいい。自分たちのサッカーを実行しようとするのもいい。しかし、お題目を唱え続けていると、頭の中がそればかりになって視野狭窄を起こすことがある。そうすると、守備に回って自分たちのサッカーが出来ない時に、余裕がなくなってパニックを起こすことになる。
 守備にまわらざるを得ず、自分たちのサッカーができない時間があることを念頭に置くこと、そんな時にどうするか考えておくこと。そんな柔軟性、したたかに立ちまわる知恵が必要ではなかったか。

 サッカーは相撲ではないのだから。

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