U-17W杯 日本2-1チュニジア 奇妙なチームの不思議な逆転劇

 マスコミで多くの報道がある通り、このU-17日本代表はいろいろと奇妙な所がある。
 試合ごとに多くの選手を入れ替えている。
 そればかりか、ポジションもシャッフルしている。
 最も不思議なのは、それでもチームが成り立っていて、しかも勝っているところだろう。

 練習見学はもちろん、現地にも行けない身としては、テレビ画面を見てあれこれ考えるしかない。
 前半の日本はよくなかった。ボールは持っているが、有効な攻撃が繰り出せていなかった。相手陣内でパスミスをしてはボールを奪われ、カウンターでゴール前に運ばれ危機を招いていた。
 解説の清水氏は日本が危機に陥るたびに、「ほらね、ここでまた」と不機嫌に繰り返した。武藤文雄氏はTwitter

木村、金田、水沼、清水、皆さん「俺の方がうまい」と思っているから、厳しく(暗く)なる。

と書いているが、清水氏はプレーヤーとしてだけでなく、監督としても「俺の方が」と思っているのではないか。
 このままではまずいと吉武監督も思ったのか、早々に43分、杉森から杉本に交代。
 前半ロスタイム、チュニジアが先制した。右サイドから日本ディフェンダーの前にいた9番(HASSEN)にボールが入れられ、ディフェンダーの注意がそこに向いた瞬間、ボールがバイタルエリアに戻され、走り込んできた13番(DRAGER)が叩き込んだ。
 ディフェンダーがどこを見て誰を抑えるべきか、本職でもなし、日本はそれがわかっていないのではないかと思われた。

 様相が変わったのは後半も半ばを過ぎた頃だった。チュニジアの選手達が、次々と足を攣らせたのだ。
 攻勢を取る側と守る側とどちらがさきに疲弊するか、は単純ではない。セカンドボールを必死に追い、パスコースに何度も顔を出し、と攻勢を取るために無理をしていれば攻めている方が先に疲れる。だが、攻める側があまり動かずにパスを回し、守る側がボールを奪おうと、あるいはシュートを防ごうと、走りまわされている場合は守勢のほうが先に疲弊する。
 日本とチュニジア、どちらがより多く走っていただろうか。差はあまりはっきりしなかった。会場は30℃超ということだが、北アフリカのチュニジアのほうが暑さへの対応という点でも上だろう。それならばなぜチュニジアが先に疲弊したのか。走行距離で変わらなければ、ボールを持つ日本を追いかけるために、短いダッシュをより多く繰り返してしまったということではないか。
 後半ラスト10分くらい、チュニジアは自陣ゴール前に張り付くことが多くなった。引かれて守られても、相手の俊敏性が落ちていれば日本のテクニックが効いてくる。

 87分、裏を取った坂井。マークした19番(ARFAOUI)は体を入れていながらボールの処理を間違えた。ゴールを避けようとして蹴ったボールが坂井の伸ばした左足に当たってゴール。ボールがゴールインした後の19番は息をするのも大儀そうだった。
 そして93分、水谷が裏を取って渡辺にボールを渡した時には、チュニジアの誰も渡辺について来れなかった。

 奇妙なチームは、不思議な勝ち方をした。吉武監督は劇的な勝利であるにもかかわらず、特に興奮した様子も見せずにインタビューに応えていた。監督は、不思議だとは思っていないようだった。 

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