日本代表2-1Jリーグ選抜 サッカーに出来ないことと出来ること

 サッカーの試合自体はエンターテインメントとして面白かった。

 試合前は、日本代表が普通勝つでしょ、と思っていた。メンバー一人一人の質はJリーグ選抜も高い。しかし熟成度が違う。アジア杯の修羅場を潜り抜けて一体感を得た日本代表に対し、Jリーグ選抜は一日しか練習していない。
 実際、前半は日本代表が圧倒した。

 代表は3-4-3のフォーメーションを組んだらしい。
 らしい、というのは、自分にはあまり違いがわからなかった、という意味だ。長友・内田のうち、攻めていないほうは後ろに構えている。それならアジア杯の4バックと何が違うのか。
 ただ結果として、サイドで代表が有利に立ち、中盤の底の遠藤が「常時」指揮しているのではなく、「時々」指揮していたという違いがあったような気がする。
 先制点は遠藤のフリーキック。喪章を持った手を掲げた遠藤に、次々に他のメンバーの手が重なっていく。まるでファーストガンダムのオープニングのようだ、と思ったのは私だけではあるまい。
 私だけか?
 二点目は本田のパスから、南アW杯予選でアジア各国を震撼せしめた岡崎の飛び出し。代表には代表の武器があり、この試合でもそれは示された。勝敗はほぼここで決まったのだが、勝敗などプレーヤーはともかく、見る人はあまり気にしていないだろう?

 ハーフタイム、代表は長友・内田・麻也・長谷部・遠藤・前田遼・本田△・岡崎が去り、柏木・藤本・槙野・栗原・阿部・李・松井・乾を投入。その結果、熟成も連携も一気に失われた。
 一方のJリーグ選抜では川口・茂庭・俊輔・原口が投入された。中でも格の違いを見せつけたのは俊輔。彼が右サイドの底から全体を見渡して指揮することで、Jリーグ選抜の動きが一気にスムーズになった。
 後半17分、代表は宮城県出身の今野に替わって岩政。GKは東口。
 同じく17分、選抜はベガルタ仙台・梁に替わってベガルタ・関口投入。小宮山・カズ・平井・ハーフナーマイクも投入。
 後半28分、左サイドで抜け出した関口がファーへシュートも外す。ああ、惜しい。入っていたら被災チーム選手の活躍と話題になったに違いない。スポーツ紙の二面は取れただろう(一面は無理)。

 そして後半37分、川口のフィード、闘莉王の落とし、迫りくる東口、ハーフバウンドの難しいボールをぶちこんだカズ。
 闘莉王とカズはチームメイトだったことはない。敵として戦ったことも何度あったか。しかし、闘莉王はカズがそこに走り込むことがわかっていて落としていたし、カズは闘莉王がボールをそこに落とすことがわかっていて走り込んでいた。
 闘莉王はカズのプレーを(憧れからか?)何度も見ていたし、カズは闘莉王のプレーを(代表選手は当然チェックしている。自分が呼ばれた時のために!)何度も見ていた。そうでなければあのプレーは説明がつかない。

 サッカーには出来ないことがある。いや、出来ないことがほとんどだ。サッカーを見たからといって水は手に入らないし、腹は一杯にならないし、暖まるわけでもないし、流された家も還らない。

 でも、それでもサッカーには出来ることがある。この日の代表と選抜のプレーは、震災で苦しむ人の、全部とは言わない、でも一部の人に、間違いなく何かを届けただろう。


 カズ流に言うなら、それは、魂みたいなものだ。

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