今頃、「0勝3敗」読了

 辰巳出版 「『0勝3敗』ワールドカップ南アフリカ大会で岡田ジャパンが惨敗する理由」、を読んだ。
 発行日は2010年2月15日。これは東アジア選手権の直後にあたる。各原稿が書かれたの日は、想像するに今年のベネズエラ戦(2/2)以前であろう。今年の東アジア選手権→親善試合4連敗は、考慮されていないことになる。
 グループリーグ分けは2009年12月4日にすでに決定しており、グループリーグの内容予想も書かれている。そこには「0勝3敗」の可能性は99%、とある。
 私がこの本の存在を知ったのは結構遅く、ワールドカップが始まってからだった。すでにカメルーン戦は終わっていて、こんな本が出ていたのかと思うと同時に、「外したな」と感じていた。
 買ったのはパラグアイ戦の後。どんな外し方をしたのか、むしろ日本代表の戦いが終わってから興味が湧いてきた。 

 中身は思っていたよりもまっとうだった。貶すために貶す文章、悪意に満ちた文章は少ない。
 例えば、「日本が勝つには『監督交代』しかない!」と銘打たれた、杉山氏・六川亨氏・中山氏の座談会。杉山氏の発言が結構まともである。

「プレッシングは全体で連動するべきなのに、前の人だけ勢いよく勝手に走り、後ろが怖がっている」
「甲府も代表も、横に揺さぶることが出来ないし、やられると弱い」


 なるほどその通り。
 杉山氏がNHKの座談会に出ていた時は一人で変なことを言って浮いていた。彼は案外、テレビカメラのない座談会のほうが向いているのかもしれない。


「指導者の在り方」と「日本がするべきこと」
 鈴木良平氏は岡田監督の欠点について、あげつらうのではなく、ひとつひとつ検証していく。傑出したテクニックを持つ俊輔を活かしきっていない。決断力が無いから選手交代が遅い。もともと人が良くて低姿勢な人なのに監督になると居丈高、などと指摘していく。岡田監督が16強を達成した、現在の視点でも語ってほしい、と思わされた。
 ただ一か所、これは言い過ぎと言う箇所があった。

確かに横浜F・マリノスでは連覇を達成した。しかし、優勝して当然のメンバーを揃えていたし、守備には一生懸命取り組んだが、攻撃には見るべきものがなかった。

 優勝して当然のメンバーを揃えたからといって、優勝するのは大変だ。世の中にはそれができなかった監督が山ほどいる。例えば、浦和サポあたりに聞いてみたらどう言うだろう。レアルマドリードのサポーターでもいいが。


 細見誠司氏の「サッカー人気の凋落は誰の責任なのか?」
 オシム→岡田監督の四年間、観客は減り、視聴率は下がった。岡田監督一人の責任ではないが、岡田監督の責任も大きい、と言いたいようだ。インタビュー拒否事件などを叩いている。
 岡田監督の責任が全くないとは言わないが、もっとも大きいのはドイツW杯の惨敗だろう。ただ、その影響はゆっくりと現れた。フライホイール(はずみ車)が止まるには時間がかかるのだ。代表戦観戦を習慣にしていた人間は、すぐに習慣をやめたりはしない。少しずつ習慣性が薄らいでいく。そして入れ替わるべき新規の客が来ない。そうしたことだろう。
 その辺りの事件→結果、の時間差について、誰かしっかり考慮・検証してほしいと思っているのだが、そうした議論はこれまであまりなかったし、ここでもない。


 肯定派が吠える「岡ちゃんでいいじゃん!」 田村修一X六川則夫
 これが面白い。題だけを見ると岡田監督を擁護して全体のバランスを取ったつもりに見える。しかし違う。
 オシム氏が倒れてすぐに川渕氏が重体説を流した、そして岡田監督が再度誕生した、という川渕陰謀話をして、監督決定時のいい加減さを叩いていく。そこで、だからこそ岡田監督に結果を出してほしい、とアクロバティックな応援をする。

田村「南ア大会は大失敗でもいいと思うんだよね。本当に全てを出し切っての大失敗だったら。それならファンも納得するわけだから」

 もうほとんど擁護していない、というか、勝てると思っていない。


 最後は原悦生氏が「終章―解任要求」を書いて締めた。
 この文なのだが、「原さん、つまりあなた、監督としての実力云々以前に、岡田さんが嫌いなんだろう?」という感想を私は持った。
 確かに嫌いだからやめろ、というのは、能力がないからやめろ、というよりは強い動機だ。原氏が本当に岡田氏を嫌いかどうか知らないが。
 この人は「SAMURAI 2010 ワールドカップ南アフリカ大会 日本代表メモリアル写真集」を7月に出している。解任要求後、岡田監督に対する考え方は変わったのだろうか。


 そんなわけで結構読み応えがあった。今だからこそ、この本は読む価値があるかもしれない。



 次回更新は、8月15日以降になります。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック