現実路線を導いた心理はどんなものだったのだろう

 日本がW杯16強となって、岡田監督の言動が好意的にみられるようになった。例えば早稲田大学で行われた講演、「岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは」。日付は12月14日で半年以上も前の話なのだが、最近になって盛んに読まれているようだ。
 私も読み返してみた。
 そこで岡田監督は、座右の銘でよく「人間万事塞翁が馬」と書く、と語っていた。確かにこれは毀誉褒貶の激しい岡田監督のためにあるような言葉だ。
 他にフランスW杯予選で追い詰められた時の心境について、どん底に落ちると遺伝子にスイッチが入る、ということを語っている。

 そうした講演を再読したのは、いわゆる現実路線、阿部アンカーシステムの導入について知りたかったからだ。年単位で続けてきた代表コンセプトを思いきる、というのは並大抵の決断ではあるまい。そこにはどれだけの懊悩、あるいは覚悟があったのだろう。なにかヒントはないだろうか。
 それで講演を読んで思ったのだが、岡田監督は負けたことをきっかけに前進する人であるらしい。
 よく知られているように、バーレーン戦(2008/3/26)の敗北によって彼は「俺のやりかたでやる」と舵を切った。
 また、ウルグアイ戦(2008/8/20)の敗戦をきっかけに、明確な目標設定、フィロソフィーを作った。
 となると、やはり韓国相手の敗戦がきっかけであったのか。 

 と、そこで別な話を思い出した。「対談 岡田監督×香山リカ 無心の感覚求めて」である。
 この対談の掲載日は2010年4月20日となっている。セルビア戦と韓国戦の間、岡田監督支持率が8%などと言われていた時期だ。人は評判の悪い時には何をしても貶されるもので、この対談も相当ぼろくそに言われたものだ。
 それをまた読んでみた。
 いま読んでも変な話をしていた。「フロー」とか「イン・ザ・ゾーン」という単語が出てくる。最高のパフォーマンスをする無心の状態、だそうだ。選手達を意図的にそういう境地に入れられないか、という。そうした境地は闘争本能、野性と関係があるのかと話は進んだ。

南アフリカに入ったら、やり持ってライオンを追いかけさせるか。仕留めてこいと

 いまになってみると、これは選手ではなく、岡田監督自身の話のように思える。
 韓国に負けて、岡田監督はフロー状態になったのではないか。
 彼の心は、「このままでは、ライオンに食い殺される」という恐怖感に満ちていたのかもしれない。必死で逃げ切る、あるいは槍で立ち向かう、そんな心境で遺伝子にスイッチが入った。
 その中であの現実路線への転換は為されたのかもしれない。

 そういえば、カメルーンの愛称は「不屈のライオン」だった。

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この記事へのコメント

デニス
2010年07月13日 23:40
岡田監督はディフェンスは一ヶ月有れば構築出来るって言ってたとか。
もし直前になってもうまくいかなければ本番は守備的にいくのも織り込み済みだったとか?

でもFWいっぱい連れてってるのをみると、それはないよなww
水谷秋夫
2010年07月15日 18:42
勝っている時に中盤を厚くして逃げ切るフォーメーション、などは考えていたのかもしれませんね。それを頭からやったと。でも何もかも織り込んでいたとは思えません。
ああした変更にも対応できる人材を選んでいたとは思いますが。

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