それは日本サッカーの長所なのか

 日本人は歴史的に「海外に学ぼう」と「日本は素晴らしい」の間を揺れ動いてきた。政治でも経済でも文化でも。サッカーでも海外サッカーを模倣しようとしたり、日本人の特性に合ったサッカーをと声高に叫ばれたり、何度も揺れ動いている。
 オシムが「日本サッカーを日本化する」と言った時、サッカーマスコミが飛びついた。そんな日本人にとって、海外の有識者に日本の優位点を指摘されることほど、嬉しいことはないのだ。
 オシム語録に次の言葉がある。
「巻はジダンにはなれない。しかし、ジダンには無いものを持っている」
 それはこう置き換えが可能だろうか。
「日本人にブラジルサッカーはできない。しかしブラジル人にはないサッカーができる」
「日本人にドイツサッカーはできない。しかしドイツ人にはないサッカーができる」

 それでは日本人のサッカーの長所は何だろうか。いくつかの点が上げられている。その発信源は中田英やオシム監督や岡田監督、あるいは大木コーチだったりするのだが、次のようなものだ。
・アジリティ(敏捷性)
・ボールテクニック
・献身性
・集団の規律

 日本人は体格に劣る。大男のサッカーはできない。しかし、これらの日本の長所を伸ばしていけばサッカー大国に比肩しうるのではないか、という期待が語られてきた。

 さて、ユーロの決勝戦はスペインとドイツの間で戦われ、スペインは1-0でドイツに勝った。勝敗ばかりでなく、スペインは内容でもドイツを圧倒し、凌駕した。
 決して体格に優れているわけでもないスペインがユーロで優勝した。そこで日本サッカーの進むべき道はこのスペインのようなサッカーではないか、と言い出している人もいるようだ。
 そうなのかもしれないが、別のことを私は考えている。

 ラームを振り切ったフェルナンド・トーレスの敏捷性を持った日本選手がいただろうか。
 シャビやイニエスタらのテクニックを持つ日本人は。
 危険を何度も未然に摘み取ったセナの献身性は。
 そしてアラゴネス監督のもと、スペイン選手らの規律は優れたものではなかったか。

 日本人の長所とされる点は、日本人だけが保持しているものではない。いや、スペインはどの点においても日本サッカーを越えていた。それなら日本は何で対抗すればいいのだ。

 なるほどスペインのようなサッカーをすれば、日本でもドイツに勝てるのかもしれない。
 だが、日本がスペインに勝とうとしたら、いったいどうすればいいのだろうか。

この記事へのコメント

念仏の鉄
2008年07月11日 10:29
スペイン代表は伝統的に「献身性」や「集団の規律」が足りないのが欠点とされてきました。今回はそこをうまく補えたことで優勝できた。見習うべきはむしろそのように、長所と短所を見極めた上で、長所を生かし短所を露呈させない指導のあり方なのかも知れませんね。
個々の要素については、日々粛々と高めていくしかないでしょう。今すぐスペインと戦っても勝ち目はなさそうですが、ま、「EURO2008のスペイン」には世界中のどの代表をもってきても勝ち目がなさそうですから、特に悲観しなくてもいいんじゃないでしょうか(笑)。
水谷秋夫
2008年07月11日 19:31
もちろん「EURO2008のスペイン」にも勝ちたいから、こういうことを書いているわけです。大望があるわけで悲観はしてないですよ(笑)。パサーがつなぎながら時間を稼いでプレースキックで一点取って逃げ切る、という絵しか自分には思いつかないのが情けないところです。日本が粛々と個々の要素を高めていくスピードが、欧州サッカーの進化のスピードよりも速いことを望んでいます。
スペイン選手ではセナに驚きました。他の国にはいても今までのスペインにはあまりいなかったタイプに思います。なるほどこれまでの欠点をうまく補った、と私も思います。

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