素晴らしきオールスター

 珍しいものを見た。笑顔だ。

 ペナルティエリア内で中澤と福西が交錯して倒れる。笛は鳴らない。
「お前、イエローだよイエロー」という風に、福西が笑顔でジェスチャーをする。「おれは何もしてませんよー」とでも言っているのか、中澤がこれも笑いながらそんなジェスチャーをする。Jリーグや日本代表戦では決して見せない、いたずら小僧の笑顔だった。
 中山がペナルティエリア手前でこける。FKを得た。しかしスローでは誰も押していないし足をかけてもいない。中山の名演技? にJ-WESTベンチ内は大笑いだったという。

 よくサッカーを楽しむ、という。しかし彼らはプロであり、仕事として勝つためにサッカーをしている。勝てなければ楽しくはあるまい。出場試合でパフォーマンスが低ければ首の心配もしなければならない。サッカーなど遊びだが、遊びを職業にしてしまった息苦しさを彼らに感じることは多々ある。
 しかし、オールスターサッカーでの選手達の多くは、ただのサッカー少年として楽しんでいた。

 そしてオールスターに選ばれた彼らの技術は高く、ゆるめの守備相手にぽんぽんパスが回る様は壮観だった。
 解説のセルジオ越後氏も「素晴らしいですね」と褒めっぱなしだった。セルジオ氏が男子プロサッカー選手相手にそんな解説をするのも珍しい。

 しかし、中には普段以上に真剣な顔をしてサッカーをしている者もいた。例えば大分のマグノアウベス。にこりともせずにプレーし続けた彼は2-アシスト。MVPに輝いた。
 1対1の絶好機でシュートをセーブされた大黒はインタビューで仏頂面をしていた。
 それもそれでいいコントラストだった。

 私はオールスターにこれまであまり興味がなかったのだが、これまでの態度を反省したほど面白かった。
 オールスターを客寄せ興業と言う人がいる。しかしこれは一流人気選手が童心に帰ってその技術を披露できる貴重な興業なのだ。海外ではそんなものはないと批判する人もいるが、3万1千の観客も満足しただろう。ならば日本独自のものとして誇ればいい(「ボールとその周りのこと」参照)。
 だからこそ、このオールスターと重要な日本代表の海外遠征をかち合わせた、日本サッカー協会とJリーグの決定は愚かなのだ。

 ところで、福西。GKの櫛野と競った時、櫛野の手に収まったボールを手で叩き落とそうとしただろ?
 俺は見てたぞ(笑)。

この記事へのコメント

foot
2005年10月11日 23:16
TB&リンクありがとうございました。
自分の意見に賛同していただく方がいらっしゃるとうれしいものです。
また何かあったよろしくお願いします。
水谷秋夫
2005年10月12日 23:39
foot様。私も自分と似た考えのかたがいて嬉しかったです。
こちらこそよろしく。

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