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プロ野球放送で頻発する、しかし私には使い方を間違えているとしか思えない言葉がある。 「チャンスをつかみました」である。 「ツーアウトランナー二・三塁、バッターは古田。ヤクルト、チャンスをつかみました」 「ああーっ、キャッチャーフライです。万事休す」 「五回の裏、ヤクルト無得点です」 「惜しかったですね」 「絶好のチャンスをつかんだんですけどねえ」 おかしくないか? 私は用法を間違えていると思う。 「高校の頃は内野手だったんですよ。ショートです。外野手に、と言われたのはプロに入って二年目です。最初は嫌でしたよ。でも、考え直したんです。当時のうちの内野はレギュラーが決まってたんですけど、センターは○○さんが引退したばかりで、レギュラーが決まってない。チャンスだ、と。最初はもう、なんでもない外野フライも捕れなくて、泣きたくなりましたけどね。四年目からレギュラーになって、去年打点王を取ったわけですけど、あのとき外野手に転向していなかったら、まだ二軍ですよ。いや、首になっていたかもしれない」 「見事にチャンスをつかんだわけですね」 「そうです。外野手になれと言った××コーチには、本当に感謝していますよ」 チャンスをつかむ、というのは上記のように成功した時に使うものだ。 ツーアウトランナー二・三塁はただのチャンス、好機に過ぎない。 チャンスです。チャンスになりました。チャンスを迎えました。そう言うべきものだ。 「チャンスをつかんだ」と言うのなら、点が入っていなければならない。 ツーアウトランナー二・三塁でキャッチャーフライ。 それは、チャンスをつかみそこねた、と言うのだ。 |
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